労働福祉の状況では、通常、社会保険・厚生年金・雇用保険など加入しなければならないところを未加入の場合に減点し、建設業退職金共済制度の加入、企業年金制度の導入など行っていることが評価できる場合は加点するなどの評価項目になります。
現在の経営事項審査は健康保険(社会保険)、厚生年金保険、雇用保険といった社会保険への未加入は、大幅な減点になります。
減点の影響が他のその他の審査項目W(W2~W9)にも及ぶので特に上記3点の社会保険制度の未加入は適用除外対象業者以外は加入できるようにしておいてください。
雇用保険加入の有無
雇用保険は事業主が労働者(従業員)を1人でも雇用しているときは加入義務があります。
法人の場合は取締役のみしかいない場合や個人の場合は個人事業主のみまたは労働者(従業員)が専従者のみなどの場合は適用除外となり、未加入でも減点になりません。
適用除外業者以外の未加入の場合は減点が大きいので、ならないように注意してください。
健康保険加入の有無
健康保険は法人の場合は取締役1人のみでも加入義務が有り、個人の場合は労働者(従業員)が5人以上の場合は加入義務があります。
やはり、加入義務があるにもかかわらず未加入の場合は減点が大きいので注意してください。
厚生年金保険加入の有無
厚生年金保険は健康保険と同様に法人であれば取締役1人であっても加入義務があり、個人の場合は労働者(従業員)が5人以上の時は加入義務があります。
通常の中小企業の場合は健康保険とセット加入になりますが、大企業や企業グループの独自の健康保険組合が保険者となる健康保険、土建組合など職域別の国民健康保険に加入している場合は、健康保険と厚生年金保険の保険者が別々になるため、両方の加入確認資料が必要になります。
建設業退職金共済制度
建設業退職金制度は勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業と共済契約を結び、共済契約者となり、建設現場で働く作業員に交付される退職金共済手帳に働いた日数分の共済証紙を貼ります。
その後にその作業員が建設業で働くことをやめたときに、退職金が支給される制度です。
経営事項審査申請時に確認資料として「建設業退職金共済事業加入・履行証明書」が必要になります。
退職一時金制度
退職一時金制度とは、従業員が退職した際に一時金として支給される制度です。
審査の対象としている退職一時金制度は以下の通りです。
- 労働協約において退職手当に関する定めがあること
- 就業規則に退職手当の定めがること、または退職手当に関する事項について規則が定められていること(従業員10人以上の場合は届け出が必要なります。)
- 勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部(中退共)との間で退職金共済契約を締結していること
- 所得税法施行令による特定退職金共済団体(特退共)との間で、その行う退職金共済について退職金共済契約を締結していること
企業年金制度
企業年金制度は、退職一時金ではなく、年金の形式で支給されるものをいいます。
経営事項審査対象になる企業年金制度は以下の通りです。
- 厚生年金基金制度
- 確定給付企業年金制度
- 確定拠出年金制度
適格退職年金制度については、平成24年3月31日をもって加点対象から削除されました。
法定外労働災害補償制度
法定外労働災害補償制度とは、政府が行っている労働災害補修制度に別に上積みして労働災害補償をする制度になります。
法定外労働災害補償制度を下記の事業者と契約をします。
- ㈶建設業福祉共済団
- ㈳全国建設業労災互助会
- 全国中小企業共済協同組合連合会
- ㈳全国労働保険事務組合連合会
- 民間の保険会社
注意していただきたいのが法定外労働災害補償保険を加入していても、肝心の法定保険である政府の労災保険に加入していないと加点対象となりません。
法定外労働災害補償制度で加点される要件は次の通りです。
- 業務災害及び通勤災害が対象になっていること
- 直接雇用関係のある職員および下請業者の直接雇用関係にある職員も対象にしていること
- 死亡及び障害等級第1級から第7級までかかるすべての身体障害補償していること
- すべての工事現場において適用があること
- 審査基準日時点で保険契約等を締結していること
- 法定保険である労災保険に加入していること