工事進行基準とは、工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事の進捗状況を総合的に考慮し、当期をの工事収益及び工事原価を認識する方法をいいます。
通常、工事が施工され、目的物が完成し、引き渡しが行われてはじめて収益を認識するのが原則になります。
このことを工事完成基準です。
しかし、工事が数年間にわたり、それに伴って請負金額も高額になる大型工事の収益の評価を原則の工事完成基準で行うと、色々な不合理が生じます。
色々な不合理をなくすために工事の進捗部分について、成果の確実性が認められる場合は、工事の進行度合いに応じて損益計上を行うことを工事進行基準といいます。
成果の確実性が認められるためには、3つの要素について信頼性をもって見積もることができなければなりません。
工事収益総額
工事の完成見込みが確実であること。
施工業者が工事を完成させる十分な能力があり、完成を妨げる環境要因が存在しないこと。
工事原価総額
工事原価は、決算時の測定が確実であること、合理的に見積られていること。
工事の事前の見積と実績を対比することにより、適時・適切に工事原価見積総額の見直しが行われていること。
決算日における工事の進捗度
決算日時点の工事の進捗度を測定する方法が合理的な方法で行われていることが必要です。
決算日までに実施した工事に関して発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度とする方法を原価比例法といいます。
この原価比例法をもって工事進捗度も信頼性のある見積りができ、合理的な方法で行われているといえます。